谷口会員のデッサン紹介

こんにちは。
水曜日、日曜日を担当しています講師の永瀬です。
この冬は寒さが厳しく、また空気が乾燥した日も多いですが、皆様お元気でしょうか。
風邪など引かぬようどうぞ健康には留意してお過ごしください。
 
今回は谷口会員のデッサンを2点ご紹介します。
谷口会員は2011年4月にご入会されデッサンを学ばれています。
 
谷口会員は一つ一つの作品にじっくり時間をかけて制作されています。
その画面からは、長い時間をかけて丹念にモチーフの観察と描写を繰り返した結果得られた
モチーフの形体感や質感の深い理解が感じられます。


一つ目の作品は、耐火レンガと松ぼっくりとくるみの静物デッサンです。
繊細で淡い調子の諧調豊かな美しいデッサンです。
光の方向も整理され、左上からの明るく、やわらかい光が感じられます。
 

それぞれのモチーフを細部まで丹念に描いています。
松ぼっくりの笠の折り重なりは、その隙間の空間を感じられるほどです。
耐火レンガの表面の細かな凹凸の表現では、レンガの手前と奥で絶妙にコントラストを調節して、
質感表現だけでなく空間的広がりも表現しています。
松ぼっくりは他のモチーフよりも弱めのコントラストで描くことで、乾いた質感をうまく表しています。
 

二つ目の作品は、金属ボールに入った葡萄とワイングラスの静物デッサンです。
この作品では、金属ボールの内側の暗がりの濃い調子から
ワイングラスの透明で明るい光が屈折している部分の淡い調子まで、
鉛筆の濃淡を幅広く使って表現しています。
 

葡萄のみずみずしい表情が丁寧に表現されています。
また果実のトーンを調節することで、それぞれの粒の前後左右の位置感の違いを表現することにも成功しています。
葉脈の繊細な表現も素晴らしいですね。
 

ワイングラスの透明感、硬質さ、薄い形体を繊細に表現しています。
ハイライトの表現では消しゴムをうまく使っています。
 

制作中の谷口会員です。
谷口会員の制作や作品からは、絵画やデッサンに対する真摯な姿勢を強く感じます。
これからも、その繊細で美しく、理性的なデッサンを楽しみにしています。
また、このようなデッサンの経験を生かした水彩画や油絵も、きっと素晴らしいものになると期待してしています!