上田会員のデッサン

メッツ銀座絵画教土曜日担当の安永です。
寒気いよいよ厳しい季節となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
 
この度はメッツ銀座絵画教室の上田会員の作品をご紹介させて頂きます。
上田会員はメッツに入会されて早一年となります。
昨年、常に高い集中力を持続し制作されていました。
今回はその成果をご覧くださいませ。
 

入会後、初めて描いたワイン瓶(キャンティ)のデッサンです。
すでに上田会員独特の鉛筆の風合いが出てきていることに驚かされます。
初心者には難しいと思われる暗い色をしっかりと作り、ビンの部分と藁の部分の固有色と質感の違いをしっかり表現しています。
今後、物の表面ではなく、形体を立体的に捉える意識が養われていけば、素晴らしいデッサンになることが容易に想像できます。
  

 

上田会員はシンプルなモチーフであっても微細な変化をしっかりと捉え、やさしく丁寧に鉛筆のトーンを重ねていきます。
結果、上田会員にしか出すことのできない質感の表現となります。
 

様々な質感のモチーフにも挑戦いたしました。
ガラスのシャープな透明感を表現しながらも独特の優しい調子は失われてはいません。
楕円を積み重ねたようなガラスランプの形体はなかなか難しいモチーフですが、最初のキャンティに比べ、中心軸のブレもなく、視点も定まり、自然な形体感を獲得することに成功しています。
 

昨年の集大成となる、兎と苺のデッサンを制作中の上田会員です。上田会員の優しいタッチで表現されることで兎が生命感を帯びていきます。
 

完成作品です。ご覧の通り描写は非常に丁寧で、画面に寄って見ると繊細な描き込に驚かされます。
この作品では、兎と苺だけでなく台も画面の構成要素として重要な役割をはたしています。
台の形が入ることで地と図、明暗のバランスがとても良くなりました。
 
これからも上田会員のお人柄のように優しく丁寧なデッサンを楽しみにしています。
上田会員は油絵にも興味がおありとのことで、培ったデッサン力をベースにどんな色彩感覚を見せてくれるのか今から期待しております。