甲原会員さまの油彩画

メッツ銀座絵画教室、月曜、土曜を担当している三津です。
今回のブログでは甲原会員様の油彩作品を紹介させていただきます。
甲原会員様は油彩経験者として入会されていて、入会当初から絵具の扱いには慣れていたのですが、下地の扱い、混色等にまだ不慣れな部分がありましたのでその点を中心に指導させて頂きました。
結果、パレット上での混色、画面上での混色、下の絵具とその上からのせる絵具との反応をしっかりと意識出来るようになり、表現の幅が一気に増したように思います。
多様なグレーを使用することで彩度の高い色を使わずに色味の豊かさが表現されています。
作品を指導している中でボナールや、坂本繁二郎の絵が想起されました。
なので、今回は彼らの作品と比較して甲原会員さまの作品紹介をさせていただきます。
 

こちらが甲原会員様の作品です。写真で撮るとあまり上手く色が出ませんが、丁寧に混色されたグレーがとてもきれいです。
手前の果実には彩度の高い黄色が乗っているのですが、周りに抑制のきいたグレーがある事でしっかりと空間に沿った色味になっていると思います。
 

こちらはボナールの作品です。
一見かなり鮮やかに見えますが実際は混色され、抑えの利いたグレー(無彩色)がしっかりと画面を支えてくれています。
テーブルに引かれた白い布は下の絵具を活かして描かれていますね。
よく見ていくと皿が落とす影の色が濃い青や、赤、黄色で描かれている事に気付きます。
実際の影はこうは見えてはいなかったと思いますが、画面を構成するうえではとても重要な働きをしています。
次に坂本繁二郎の作品です。
 

坂本繁二郎の作品も写真で見るといまいち良さが伝わりにくいのですが、実物の色の綺麗さは本当にすごいものがあります。
ほとんどの部分がグレーで描かれているのですがその分、ほんの少しの色味がより味わい深いものに見えてきますね。
こちらの作品も実際目に映る像とは違うものを描いていますが、作家の思考や眼差しを感じる事が出来ますね。
 
甲原会員様の作品も実際のモチーフの色とは違う色で描かれていますが絵画空間としての成立が徐々に見えてきています。
ここから画面上での明暗が整理できていければ一段と強い画面が出来てくると思います。