こんにちは。月曜日担当講師の佐竹です。
今回は昨年秋にご入会後、様々な制作手法で新しい絵画表現に挑戦されている上田会員の作品をご紹介させていただきます。上田会員はモチーフをもとにした静物画の制作を行うと共に、かつて訪れた都市の風景写真からアクリル画を中心に描かれています。
上田会員の制作ドキュメントから近作をご紹介させていただきます。
キャンバスにアクリル F6号
本作品は予め暗い色味の彩色(暗色下地)を施したキャンバスへ、モチーフそれぞれの印象を素早く画面へ描画しています。描画の筆致(ストローク)を活かして、絵筆の他にも、ペインティングナイフやゴムベラなどを使い、一息に描き上げられました。身振りと色彩のハーモニーが調和したスピード感溢れる作品です。ご友人へ贈られるとのこと、素晴らしいプレゼントです。
キャンバスにアクリル F3号
同じく、バラをモチーフに暗色下地に描かれています。ドリッピング(滴り技法)を採用することで絵具の飛沫が躍動感と共に画面へ定着されています。
制作中のアクリル画です。 写真手前は唐辛子をモチーフにグレージング(おつゆ描き技法)が施されています。奥は次項作品「キオスク」の下地層になります。
本作品は、かつてご旅行にて訪れたヨーロッパのお写真から街頭売店(キオスク)をもとに制作されています。建物のシルエットを基調にスナップから大胆にトリミングされました。細部の描画に入る前段階ですが、主題を明確にした構図が空間を引き締めています。
キャンバスボードにアクリル F3号
建物のシルエットは明暗法(コントラスト)を活かし、室内は明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)を利用した色彩の遠近法を用いることで、空間に彩りを与えています。宝石箱のような色とりどり、美しさを散りばめた作品が完成しました。
上田会員はかつて制作された大型作品(F50号)を切り抜くことによって、新しい作品へのリニューアルも試みました。カットアップとよばれる手法です。予期せず生まれた画面の美しさをトリミングし、抽象的構成の小作品として額装しました。
制作中の上田会員です。素材への熱心な探求、従来の描画法に留まることなく、様々な技法を駆使して制作に望まれる上田会員の表現世界。今後の展開が益々楽しみです。
佐竹講師評