藤峰会員様の水彩画ご紹介

こんにちは。木曜日担当講師の小牟田です。
今回は藤峰まゆ美会員さまの作品を2点ご紹介いたします。
馬の写真を資料にし、グスタフ・クリムトの作品の中から柄を選択し背景に組み入れた水彩の作品になります。
まず、藤峰会員さまが持参した悠然と佇む馬の写真はとても神秘的で、描きたくなる気持ちにとても共感しました。
 
 

 
 
赤毛の馬の作品は、背景に金の絵の具を使って、型紙を作りステンシルのように着彩した後、スパッタリングという技法を用いてニュアンスを出しています。(スパッタリングとは、網にブラシをこすり、絵の具を粒子として飛ばす手法です。硬い筆や歯ブラシを指ではじいても同じ効果を得られます)そして、金の柄の奥には複雑な絵の具の層でグラデーションを作っています。
単純ではないこの背景の構造が、強い赤毛の馬を美しく際立たせていて、とても魅力的な仕上がりになっています。
 
 

 
 
もう一点、同じ資料の中からタテガミの色と肌の毛の色のコントラストが際立つ馬を描きました。疾走感のある馬の姿に流動的な柄の背景がよく合っています。
馬の毛並みの描写部分では、バランスを見ながら少しずつ強くしていったとのこと。描き込みの絶妙なバランスで、白い毛を濁らせることなく、グレーの細かい斑点を描く事ができたのだと思います。この作品は、背景と馬の鼻先が同系色に設定されているため、メインと背景の一体感が生まれ、黄色の線の柄が際立ち、不思議な空間を演出しています。また、写真では見えにくいのですが、部分的に使われているラメも、透明感や輝きを加えとても効果的です。
 
ご紹介した2点とも、見れば見るほど絵の世界に入り込める良い絵だと思いました。
次回作品も、うつくしい白黒の斑毛の馬を描きます。新しく描かれる絵が楽しみです。
 
様々な技法、絵の具、ラメやパールなど積極的に使う事で、オリジナリティのある絵が生まれます。皆様も、新しく使ってみたい絵の具や表現がありましたら、ぜひ担当の講師に相談してみて下さい。