『紫陽花』を描く、土曜日第2回目の報告

メッツ絵画教室講師の三津です。
6月の企画講習会では『紫陽花』を描きました。
土曜日2回目でみなさん描き終わりました。
様子をご報告させていただきます。
 
一週間経つと花の形も変わっていて皆様少し戸惑っていましたね。
生花を描く場合、花によっては一日の間だけで形が変わってしまうものがあるのでいつの状況に合わせて完成させていくかはとても重要になってきます。
前回の状況を思い出しながら描いていくもよし、今回の花の形状に修正していくもよしです。
絵の面白さの一つとして同じモチーフを時間を掛けていじることによって色んな時間軸が一枚の作品の中に封じ込める事ができます。
写真がある特定の時間帯(シャッタースピード)によって切り取られた画像であるのに対して、絵画というのは断続した時間帯の中で作られる画像になります。
2週目の制作では前回の講評で言われた事と形の変わっていくモチーフといかに対峙していくかが学んでいけるといいですね。
 
制作風景です。2日合わせて5時間の制作になりますが普段の制作では時間の制約がない状況での制約になっていますので今回は制作時間の割り振りも重要になります。
 

 

“>
描きました作品の講評会の様子です
 

鈴木会員様の作品です。前回言われた前後の描き分け、葉と花の描き分けがしっかり意識されています。
鈴木会員様は普段の制作でも花を描いておられます。
いつもの時間を掛けた作品も手数が入っていて見応えがあるのですが、今回のような時間制約があるなかでどこに手を入れ、どこを省略していくかが覚えていけると普段の制作ももっと短時間で完成出来るかもしれませんね。
 

田村会員様の作品です。
前回の講評の段階では葉っぱの暗さが出しきれずにグレーに染まった印象がありましたが今回しっかりと暗さが乗ることで画面に強さが出てきました。それに加えて葉と花のコントラストが明確になり、白い花が一段と白く見えてきます。
デッサンに置いて白さの表現はなかなか難しいのですが、白い部分をいじるのではなくて逆に暗さをしっかりと作ることで対比が生まれ、これまで白く見えなかったものが白く見えてきたりもします。
絵を描く時には全体の明暗を意識しながら部分を決めていかなければならないんですね。
 

お次は上田会員様です。
一回目の制作でしっかりと描く部分、曖昧なまま終わらせる部分が上手く機能していたのですが今回いじってその粗密の差が少し無くなってしまったように見受けられます。
絵を描く場合、全てを実直に描けばいいものではなくて、場合によっては描かない方がよい部分と言うのが存在します。そこの見極めは言葉で言って簡単に覚えられるものでもないのですが、そこを抑えられると少ない手数でしっかりとした完成度が上げられるようになってきます。
 

続いて小林会員様の作品です。
余白を大きくとった大胆な構図ですね。
紫陽花の花の支柱の強い黒が画面の支柱の役割にもなっています。
鉛筆という素材はなかなか強い黒が作りづらく、画面全体がグレートーンになってしまい弱い印象になりがちですがこのような強い黒が入ってくると一気に画面が強くなり、他のグレートーンも鮮やかに見えます。描写に関して言えばまだ詰められるところはあるとは思いますが絵を描いていく、作っていくという意味合いにおいてはとても良い作品になったと思います。
 
こちらは午後の講評風景です。
 

 

小泉会員様の作品です。
小泉会員様はまだ教室に通われて日が浅く、紫陽花は少々難易度が高いかとも思いましたが、良い仕上がりになっています。
一日目に出来ていた柔らかい雰囲気、空間を崩さないように慎重に制作されました。
葉の暗さも先週より暗さを増して、画面の強さに繋がっています。
 

最後に佐藤会員様の作品です。
葉の描写もしっかりとしてきていますがそれよりも花の描写がとても良いですね。
大きな花の房の形を維持しながら細かな一つ一つの花の描写がしっかりとなされています。
話をお聞きしたらよくわからなくなって少し自分で作りました。とおっしゃっていましたが、このような複雑なモチーフを描く際にはモチーフの特性、リズム等を分析して作っていく部分もあっていいのだと思います。見る事を怠ってはいけませんが、観察したうえで花の構造を分析、理解して描いてういくのも制作するうえでは大事なポイントになるのだと思います。
 
皆様、お疲れ様でした。