小松会員さまの鉛筆デッサンのご紹介

こんにちは。月曜日担当講師の佐竹です。
今回は昨年末にご入会されてから、現在に至るまでの小松会員の鉛筆デッサンをご紹介させていただきます。
小松会員のデッサンはその細部により魅力があります。
熱心にモチーフの持つ質感を観察し、鉛筆の強弱を繊細なタッチで表しています。
一枚の制作に2時間30分のレッスンを4~5回(10~12時間30分程)費やしています。
小松会員のドキュメントから制作の軌跡をご紹介させていただきます。


ご入会後、1枚目の鉛筆デッサンです。
ワインボトルの写り込みまで丁寧に描かれています。
思い切り良くのせられた柔らかい鉛筆の黒がモチーフの重さを上手く表しています。
全体のカタチにより注意を払うとさらに良いと思います。
 

2枚目の鉛筆デッサンでは、パセリを描きました。
手前に持ち上がる葉をより強い調子で描くことで、遠近を表すことに成功しています。
黒からグレーへのハーフトーン、細やかな色の階調が美しい仕上がりとなりました。
 

3枚目の鉛筆デッサンでは、二つのモチーフを組み合わせて描きました。
手前の洋梨と奥のステンレスボールとの距離感を描くことが重要な課題になりますが、影の描画がそれらを自然に見せています。
硬質なボールと果物の質感の描き分けが入念なタッチと相まり、色彩さえも感じさせます。


4枚目の鉛筆デッサン。モチーフはしゃくなげと紅茶缶です。
缶の工業製品特有の左右対称なカタチ、しゃくなげの白さは非常に描くのに苦心されていました。
ビンや缶などの工業製品は一目でカタチの歪みが判ってしまう為、透視画的正確さが求められます。
また白いモチーフ(花や石膏像など)はその白さを保つのがとても難しく、描きすぎると濁ってしまいます。
コントラストの難しい組画題ですが、時間をかけてじっくりと制作に望まれました。
 

5枚目の鉛筆デッサンはほら貝です。
貝特有の文様の再現は小松会員の繊細な観察眼によるものです。
貝殻の縁から穴の中へ至る洞窟状の空間も固い鉛筆を細かいタッチで重ねることで、非常に美しい階調が生み出されています。
こういったモチーフの影・暗い部分には、柄など表面上の派手さはありませんが、実は芳醇な色彩が隠されているのです。
 

6枚目の鉛筆デッサンはランプです。
ガラスと金属部分の質感の描き分けが非常に豊かなハーフトーンで表現されています。
カタチの再現には苦心されていました。何度も描き直し、より正確さを求めています。
細部の描き込みがリアリティを伴って、モチーフの持つガラスの「冷たさ」さえも感じさせます。
 

7枚目の鉛筆デッサンはウサギの置物とチェリーです。
ウサギはFRP製の硬質なモチーフですが、小松会員のデッサンでは、毛並みの質、瞳の映り込みがモチーフより生き生きと感じます。
小松会員ならではの観察眼と緻密な描画が生命感を与えているといえます。
今後はモチーフのみでなく、背景の処理も視野にいれると、作品がより空間性を獲得すると思います。
今後益々の上達に期待いたしております。
 

高岡校長先生の指導を受ける小松会員。
 
佐竹講師評