H・Y会員様のデッサン画

会員皆様、こんにちは。
土曜日を担当している講師の杉本です。今回はH・Y会員様のデッサンをご紹介いたします。
 
 

 
 
山羊の首像を描いた、完成度の高い素描です。全体の秩序を大切にしつつ、ディティールを緻密に仕上げています。鉛筆の硬度を丁寧に使い分け、適度な擦りを加えることで、写実的なぼかしを生み出しています。
 
フォルムは克明に描きつつ、色合いの変化で奥行きを表現できています。山羊の眼についても、置物でありながら、思索しているかのようにも感じられます。毛並みの描き込みについては、ノック式消しゴム(ペン型の消しゴム)が大活躍。表面に施された線刻を精細に捉えています。デッサンでは、固有色や陰影を、いかにして黒鉛の明暗に置き換えるかが重要です。この作品では、首像そのもののグレーと、光による立体感の表現とを調和させる事が出来ています。
 
山羊の角でも、節を一つずつしっかりと描いています。羊や山羊の角は、捩れながら巻くように伸びていく複雑な構造をしています。一部の節の描写にやや不明瞭な箇所がある事が、次の制作に向けての改善点であると思います。流れのある立体構造と細部の要素における、描写の両立が次なる課題であると考えています。

 
 

 
 
H会員様はこだわりを持って観察眼を光らせ、毎回の制作で妥協なく作品を仕上げられています。次回作も期待しております。