皆様こんにちは。土曜日を担当している杉本です。今回は、H会員様の油彩画模写をご紹介いたします。
完成しましたこの模写作品の元はオランダの画家コルネリス・デ・ヘーム作『果物籠のある静物』です。H会員様は上野の国立西洋美術館を訪れた際にこの作品と出会い、研究の題材として選択しました。マスカットや葡萄、サクランボの透明感。桃などのフルーツの表皮や葉の質感。レモンとメロン、無花果の果肉の描き込み。実作品と向き合うことで得られるこだわりと、長期に渡る丁寧な観察の成果が現れています。若干のもつれはありますが、籐籠の描写も編み込みの細部まで捉えています。
静物画は、静止しているモチーフを描くものです。しかし本作では、モチーフの置き方や、レモンの皮・野菜の蔓などの展開に見られる、計算された“不安定さ”が画面に動きと流れを生み出しています。模写を通じてこのような構図の作り方も吸収して頂きたいと思います。筆や刷毛の使い分け法もより工夫することで、更に精細な表現も可能となるでしょう。
今回は額装した写真も頂けましたので掲載いたします。
次回作品も期待しております。
作品制作中のH会員様です。