長谷川由里子会員様の作品

メッツ絵画教室の銀座教室で日曜日担当の講師阿部です。
本日は長谷川会員の作品をご紹介します。長谷川会員はすっかり鉛筆での表現の虜になってしまったようです。
そのこだわりと突き詰め方には脱帽します。もうその辺で、と何度言いかけたことでしょう。
ですが作者が求めていればそれは終わりどきではないのです。そして長谷川会員は自作の完成のタイミングを自分で測れる方です。それでは渾身の骸骨をご覧ください。
 
 

作品のディティールです。
 
 

いかがでしょうか。
細部のなめらかな描き込みを徹底しているのがわかるでしょう。白いものが白く描かれている状態というのは言うより楽なものではありません。
暗部のハーフトーンが明るく描かれることで生まれる白さがこのデッサンにはあります。制作中何度も暗部が濁ったことがありましたが、何度も見返し、暗部を練り消しで起こし直してのこの状態があります。
また、フォルムの美しさもこだわりの見せ所でした。形のキワを見分け、明と暗に切り分けていく仕事は簡単ではありません。最終的に生まれたなめらかな形はこの描写によって生まれています。良く頑張りました。
細部の描き込みに対しては実はほぼノータッチでした。長谷川会員の形への見方やアプローチは天性のものなのでしょう。感じるままに描き続けてください。
 
 

 
 
次回作では私がこのカメラを指定してみました。
1mm以下の誤差を修正しながら描き上げることに喜びを見出しています。細部に神は宿る。様々な意味で使われる言葉ですが、自分がしっくりとくる形を描き上げた時は筆舌に尽くし難いものです。
 
細部の描き込みとフォルムを整える歓びに満ちたモチーフを、長谷川会員がどう仕上げるか、今から楽しみです。