メッツ絵画教室の銀座教室で日曜日を担当する講師の阿部です。
暖かい日が増えてきまして、外に出かけるだけで気持ちが晴れやかになり過ぎる陽気です。あまり人が集まるところは避けて行動する癖がつきましたが、近所をぶらつくだけでも家のベランダから外を眺めるだけでもちょっと良いなぁと感じる毎日です。
さて、この度は銀座教室の日曜日に通われている会員様の作品を紹介します。昨年は楽々展が中止となりましたので、出来るだけ多くの作品を紹介したいと思います。
佐藤友理江会員様の作品です。
佐藤さんは自分で撮影した写真を元に水彩画を制作しています。時間をかけて制作を進め落ち着いた調子が作られています。
近景の鮮やかさに対して遠景のぼやけた調子が、実際にこの場所に立ったらこんな気持ちになるのかなぁと感じさせます。
写真を元に風景を描くと、細かなところが見え過ぎてしまって、筆の動きを止めてしまうことがあります。佐藤さんは建物と近くの畑の描き方を工夫していて、焦点が当たる建物の塊の邪魔にならない様にあえて大きなタッチで畑を描いています。モチーフになった土地に降り立った「感じ」を大事にしていってください。
渥美光治会員様の作品です。
こちらの二作品は先述の佐藤さんに続き、ご自分で撮影された写真を元に制作されています。
一つ目は北欧に旅行された際に船上から撮影されたものだそうです。水平線にかかる太陽から伸びた光が水面や雲に色とりどりにうつりこみ、幻想的にも感じられる色彩で描かれています。
写真を使いながらも、その場にいた印象を思い出しながら描かれたのではないでしょうか。対し二つ目は宮城県の自然公園の景色です。勝手知ったる景色なのでしょう、ふと顔を上げたら見つけた様なほっとする画面に仕上がっている様に思います。少し湿気った感じに光の差し込み具合なんかも自然な調子で描かれていて綺麗です。
前者は一期一会の景色なのに対して、後者は馴染みの景色。この二つの作品の対比が渥美さんの物の捉え方を表現している様に思います。余談ではありますが、私の地元も宮城県なのですが、モチーフとなった公園は幼少期よく遊びに連れていかれた場所でした。絵を観てこんな場所だったなぁと思い出しました。
井口昌子会員様の二枚目のデッサンです。
井口さんは昨年に入会されたばかりの会員です。一枚目に描いたリンゴのデッサンに続き、描くこと自体に新鮮さを感じていることが伝わるデッサンに仕上がっていると思います。
見た物がリアルに描けたら嬉しいもので、そんな当たり前のことを思い出させます。観察して見つけたことを写し取っていくことは基本でもあり、それが全ての様にも思います。
ビンのツヤなんかテカテカしていて触ったらヒンヤリしそうだなーとか、ラベルのプリントはお洒落なロゴが入っているなーとか、こんなことを考えていたんじゃないかなと想像したくなるデッサンです。やってみたいことにドンドン取り組んでいって欲しいです。
山﨑雅幸会員様の作品です。
山﨑さんは長く教室に通われている会員さんなのですが、近作を観ていて上達が著しいです。
いつも淡々と描いている姿が印象的な山﨑さんですが、違うなと感じたら柔軟にやり方を変えていったり、納得するまで筆を動かしていく力があります。
実はこれは絵を描くときにとても大切なことだと思います。正解を急ぎ過ぎず、どうだろう、こうかな?と問い続けられる力が絵を描く力になると思います。寒色の割合が強い画面でもどこか感じる暖かみがは山﨑さんの作品に共通する感触です。これからの作品も楽しみにしています。
以上、四名の作品を紹介しました。また沢山の作品を紹介したいと思います。
教室では絵を完成するまでのお付き合いになってしまいますが、完成した後、飾ったりなどして生活に溶け込ませていくことで絵が育っていく様にも感じられます。壁にテープで貼り付けてみたり、食卓に立て掛けて観たり、ルールはないかと思います。この時期になったらあの作品に差し替える、、、でも良いですし。絵がある生活を作ってみてください!