人物画講座

こんにちは、講師の三津です。
今回のブログでは先に行われた人物講座の様子をお伝えしたいと思います。
銀座教室で月に1回、各月奇数月の最初の土曜日か偶数月の最初の日曜日に
人物講座を開催し今回で6回目になりました。
 
 
 

 
 
 
今回の講座は2時間半で作品を完成させなければならないので皆様集中して描
かれています。人物を描くのは難しいと思われがちですが人物描写には人物を
描く上での留意点があるのでそれをしっかり意識して回数を重ねていけば着実
に上達します。
 
それらのポイントを踏まえつつ個々の作品の紹介をしていこうと思います。
 
 
 

 
有光会員さまの作品
 
 
コンテの柔らかい表情で描かれた人物の量感が良いですね。プロポーションも
回を増すごとに自然になってきています。プロポーションを正確に取る為には
描き出しにしっかりと時間をかけて細かい部分にはなるべく手をださないこと
です。描き出しを急ぎ細部に早くから手を出すとポイントが固定されてしまい、
修正がしにくくなってしまいます。有光会員も当初は描き急ぎ過ぎてプロポー
ションが崩れてしまう事もあったのですが今回は余裕を持ってゆったりと制作
が出来て、自ずと形も良くなってきました。次回はもっとゆっくり制作できる
となお良い作品になると思います。
 
 
 

 
大塩会員さまの作品
 
 
出だしのプロポーション取りに時間をかけられたことで手数は少ないのですが
適格な仕事が出来ています。髪の色とうちわの色に濃いコンテを使い、塗り残
した白で帯や肌の色、明るい黄土色と茶で浴衣を塗り分ける事で少ない色幅で
最大限の効果が得られています。顔や肩の自然な傾き、膝を崩した上半身のね
じれなども良く表現されています。足元の陰を強い暗さで描く事で構成もしっ
かりなされていて完成度の高い作品になりました。
 
 
 

 
芹川会員の作品です。
 
 
描き出しは身体と顔の大きさを合わせるのにかなり苦労されていましたが仕上
がりはとても雰囲気のある作品になりました。人体を描く場合、手足、顔など
の細部が大きくなってしまう人と小さくなってしまう人と分かれます。芹川会
員は小さくなる傾向が顕著でした。原因としては身体の大きさと比較しつつ描
き進める事もあるのですが、もう一点、細部を描く時に体のどの部位を動かす
かにあると思います。指先だけ動かして描くと描ける範囲がかなり狭くなって
しまい物が小さくなりがちです。その場合描く範囲に応じて、手首で描いたり、
肘、肩から動かしていけるようになると大きな形態を描く時のストレスが無く
なると思います。
 
 
 

 
峯会員の作品
 
 
木炭作品です。木炭はしっかりとした暗さが短時間で得られるので短い時間で
の制作にも向いています。その分白さを大事にしないと全体が暗く沈んでしま
いがちなんですがこの作品は白さの幅、グレーの幅もしっかりと意識されてい
て、作者の力量を感じられます。うちわを持つ手元の観察、顔の細部にとらわ
れない描写もとても良いです。うちわの白さが背景のなにも描いていない紙の
白さを綺麗な空間に見せてくれています。
 
 
 

 
小松会員の作品
 
 
鉛筆の作品です。淡いトーンの中で浴衣を着た身体がしっかりと描かれていま
す。小松会員は大きな形を出すのに苦労をされていたのですが、人物講座を繰
り返し受ける事でその不得手を克服出来てきています。腰まわりから膝の距離
感、左右の肩の前後関係、愛し首に置かれた手の奥ゆき等、これまで描き切れ
なかった物がしっかり表現出来るようになっていて、教えながら感心しており
ました。髪の暗さをもう一段階しっかりと黒くする事でもっと目を引く作品に
なったと思いますがそれ以上に成長の感じられる一枚となりました。
 
 
8月には日傘を持った女性の固定ポーズ、9月~11月(3回連続固定ポーズ、
1回だけの参加もありです。)と続きますのでご興味ある方はぜひぜひご参加下さい。