特別講習会「木炭デッサンでトルソ石膏を描こう」ご報告 NO2

土曜日は朝昼合計12名の会員さまが参加して下さいました。
 

制作風景です。
土曜日は女性トルソの人気が高かったですね。
女性トルソは全体的に丸みがあるので稜線の見極めが難しく、少し描き辛さもあったかと思いますが、描きたいと感じられた方を描いた方が意欲もわき易く、制作に張りが出てくるものです。
皆さま木炭でのデッサンは始めてという事で始めの内は当然不慣れな印象がありましたが時間が経つにつれ素材にも慣れ、しっかりやりとり出来るようになりました。
 

会員さまの作品に少し手直しをしている所です。
木炭をいじる場合、描きだしで何度も大きな仕事を繰り返していくので「そこ消しちゃうんですか?」と嘆かれていましたが、素材の性質上やむなくいじらせていただきました。
 

大塩会員さま
まだ教室に通い出してから間もないのですが、しっかりと観察をすることで微妙な身体の傾きが表現出来ています。
出だしの作業としては良いのですがここから徐々に木炭を落ち着かせながらしっとりとした表情を作っていけるといいですね。
 

大西会員さま
こちらも出だしの見え方としては順調です。
木炭という素材は細かな描写をするのはどちらかというと不向きで、逆に大きな明暗の流れ、光、構造を追っていくことに長けています。
一度乗っけた木炭をいかに落ち着かせたり、取っていきながら最終的なトーンに仕上げていくんですが、今の状態ですともう動かせる木炭が画面に乗っていないのでここからもう一度大きく木炭をのせ直してそこからまた探っていけるとダイナミックな画面になると思います。
 

上田会員さま
お尻上部、背中の筋肉の盛り上がりを出すのに苦労されていました。
木炭で描く場合には細かいところを一つ一つ加筆していくというのではなく、大まかな明暗を先ず大胆にのせて、そこから手や練り消しを使ったマイナスの作業で決めていくというのが順当なやり方になります。
なのでまず背中の暗さに木炭をしっかりとのせ、その暗さの中で背骨周辺の明るさを探り出していくことが賢明かと思います。
 

松原会員さま
普段は水彩で制作されています。水彩に比べ、画面に乗せてからいじっていくことが多く、文字通り手探りで見つけていくことを楽しまれて制作されていました。
木炭の美しいトーンがよく出ていますね。背景にも意識を配ることで面白い表現になっています。
 

小林会員さま
お尻の量感が感じられますね。
一番手を掛けた部分がしっかりとしたクオリティーに繋がっています。
その分まだ手のあまり入っていない上半身はまだ軽い印象ですね。
木炭は一度摺り込んでしまうと白さを取り戻すのが困難になりますのでここから今以上に慎重に木炭を重ねていきましょう。
 

若井会員さま
制作後に感想をお聞きしたら木炭は向いていないとおっしゃっていましたがその言葉とは裏腹に作品は力強い仕上がりになっています。
摺り込んでいくタイミングが早すぎたのと、全体的に摺り込み過ぎた事でやりづらさもあったかと思いますが、それを上回る熱量で押し切りました。
 

田村会員さま
かなり慎重に木炭を乗せていっていました。
結果とても綺麗なハーフトーンが出せていますがこのハーフトーンをもっと綺麗に見せる為にはしっかりとした暗さ、木炭のざらついた表情等が必要になってきます。
なので大西会員さま同用、木炭を上からのせ直して画面の中の暗さの役割を作っていけれると良いですね。
 

鈴木会員さま
少し身体が起き上がってしまいましたが木炭の表情には幅があり、魅力的な作品になってきています。
画面左の腕の切断面に修正の跡が残っていますがこのような修正が作品をより良くしてくれるのだと思います。
このような跡を気にされる会員様も多いのですが、個人的には作業の痕跡、作者がどのように物を観察しているかが見えてきて好感が持てます。
何度も修正をしていくことで実際の形、傾きに少しでも近づけられると良いですね。
 

金会員さま
首から胸にかけての見え方がとても良いですね。
木炭で描いていく際によく粘土で立体を作っていくような感覚で制作して下さい、と指導することがあります。
削り過ぎた部分には新たに粘土をつけ直して、手で細かな形態を作っていく感覚ですね。
木炭でも同じ事が言えます。繰り返しになりますがここからもっと暗くあるべき部分にたっぷりと木炭を乗せて形をさわりながら制作していきましょう。
 

片岡会員さま
多少形の狂いはあるのですが、何度もやり取りを重ねる事で魅力ある柔らかさのある作品に仕上がっていますね。
右方の際の処理が輪郭線に頼っているように見えてしまうので最後までトーンを追っていき、後ろの白い空間につなげていってあげると一段と柔らかな空間が表現出来ると思います。
 

武智会員さま
重さを感じるいい木炭デッサンになっていますね。
奥に見える胸も手前の表現と差を出すための擦り込んでいる事で空間を感じられます。
武智会員様は普段油彩で制作されています。
木炭デッサンは油彩をやられている方には特にお薦めしていまして、形の出し方、隣り合ったもの同士の関係性等を油彩につなげていければと思います。
 

二村会員さま
背景の白がとても綺麗に見えてきますね。
白バックで描く時にはなにも描いていない部分を空間として感じさせなければいけません。
そのためには際の明暗の強弱をつぶさに観察していかなければなりません。
手数自体はさほど多い作品ではないのですが作者の丁寧な観察眼を感じます。
ただ画面下、足は画面の端までしっかりと描きましょうね。
 

講評会の様子です。
今回、初木炭デッサンだった方がほとんどだと思いますが、普段とは違う素材を扱う事で、新たな発見、楽しみ、デッサンの奥深さ等を感じていただけたら幸いです。
土曜日担当講師 三津、山本