こんにちは。水曜日、日曜日を担当しています講師の永瀬です。
今回は水野会員様の油彩画を3点ご紹介します。
はじめにご紹介するのは、スウェーデンにご旅行されたときに撮影した写真を元に描かれました
農家小屋の風景画です。
大きく配置された建物の直線的要素が画面を構成して、
心地よい緊張感とリズムをつくり出しています。
また建物の茶系の色味と植物の緑系の色味の対比が鮮やかに画面を彩っています。
植物の表現は瑞々しく、凛とした空気感を感じます。
建物の表現では、手前と奥で色味を調節して、うまく距離感をつくられていますね。
全体に密度が高く、充実した力作になっていると思います。
次にご紹介するのは、洋書や葡萄とザクロをのせたガラスコランダーなどを
配置した静物画です。
画面全体を覆う、布の青い色味とザクロや洋書、洋梨の暖色系の色味の対比が
とても美しいです。
葡萄はその対比する色味を繋ぐ役割も担っていると思います。
またそれぞれの物の質感がとてもよく表現されていると思います。
ガラスコランダーには透明感があり、薄く硬質な感じがします。
果物たちはとても瑞々しく、内側にたくさんの水分を含んでいるようですね。
洋書にはとても長い時間の経過を感じます。
今作は落ち着きと楽しさの両方がある素敵な作品になっていると思います。
最後にご紹介するのは、こちらもスウェーデンで撮影された写真を元に描かれた、風景画です。
お城は何度も形を取り、色を重ね、綺麗に整いました。
お城の、陽の光が当たっている所と影の所では、とても丁寧に的確な色味をつくられていますね。
空と河では青系統の色味でも、明確に違いを作りだされています。
手前の岸に咲く花では、明るい黄色を強めのマチエールで置いています。
空やお城や河と、とてもいいバランスが取れていますね。
明るく自然な描写と、
奇抜ではなく、ありきたりでない、少し変わった、魅力のある構図が印象的な作品だと思います。
今回ご紹介した作品には水野会員様のバランス感覚や色感のよさがとても発揮されていると思います。
またどの作品もしっかりと仕上がっています。
そのためには制作中、常に作品の状態を見つめ直すことを繰り返していらっしゃるのだと思います。
毎作、どの作品にも、自立した自然で明るい画風があり、
それでいて色味やかたち、タッチなどで新たな実験の要素を取り入れながら
制作されている水野会員様。
これからも素敵な作品を楽しみにしております。