安井会員様のデッサンのご紹介

こんにちは。月曜日担当講師の佐竹です。
今日は安井会員様のデッサンをご紹介させていただきます。
 
安井会員様は一昨年夏に入会されてから1年半、月2回コンスタントにデッサンの技術習得に励まれていらっしゃいます。
安井会員様の制作ドキュメントからこれまでの作品をご紹介させていただきます。
 

体験教室での「りんご」初めてのデッサンです。体験教室では、まずモチーフの持っている印象を数種の鉛筆を使い、2時間で描いていただきます。短時間にも関わらず、りんごの丸みや質感も良く捉えています。
 

2枚目のデッサンは「ワインボトル」です。硬質なモチーフに挑戦していただきました。ラベルも丁寧に描くことで、円柱の丸みが感じられる仕上がりです。ガラスの透明感を出すのが難しい課題です。
 

3枚目は「丸太」です。円柱状のボディに突起した切り口、自然物特有のカタチが面白い素材です。丸太の断面と樹皮の文様がポイントになります。表面の描画は非常に説得力がありますが、手前と奥の描き分けによってより奥行きが出るとより魅力的です。
 

4枚目は組モチーフ「煉瓦とズッキーニ」です。二つの素材の描き分けと奥行きが組モチーフのポイントになります。手前のズッキーニの描き込みが奥行きを演出しています。煉瓦のざらざらした質感が再現されるとより対比が際だったと思います。
 

5枚目は「胡椒引きとソルト瓶」です。木材とガラス、それぞれの質感の違いを良く描き分けています。胡椒引きの奥行きも保ち、黒いモチーフの重量感も十分に感じさせます。筒状に連続する楕円がさらに正確に整うと、より工業製品らしいシャープなカタチが描けると思います。
 

6枚目は「ランプ」です。このモチーフを描く際には、少しこれまでと異なったアプローチを試みました。工業製品特有の左右対称(シンメトリー)が特徴的な、硬質なモチーフですので、よりカタチの正確さがシビアになります。通常はある程度の輪郭線を描いた後、階調(トーン)を序々に濃く塗り込んでいくのですが、本作はトーンが重層する光の奥行きよりも、カタチを示す線の描画を重視し、表面に連なる文様や、ボディの形状を力強い筆致で何度も追いかける意欲的な描き方となりました。
 

7枚目は「パンとイチゴ」の組モチーフです。前作「ランプ」での鉛筆の使い方、筆致の強弱が早速活かされています。手前二つのイチゴとパンへの距離感、さらには床面、綿布の質感も非常に良く観察されています。上部の黒い帯が効果的に画面を引き締めています。
 

8枚目は「手の石膏」です。石膏の難しさはその白さを表すことにありますが、薄暗い背景の描画によって効果的に引き立っています。ハイライトの描き込みがさらに進むとより素晴らしと思います。白さを描くには、鉛筆も6H~10Hなどより硬質な種類が必要になってきます。
 

9枚目は「エジプト王の首像」です。背景色は白のまま、白い石膏像の奥行きを表現する試みです。描きすぎると鈍ってしまう鉛筆色の特性を理解し、目鼻口などポイントになる部分の描き込みへ活かされると、さらに奥行きが感じられると思います。
 

10枚目は「スイカ」です。本作は企画講習「夏の果物を描く」にて、2時間半で描いた作品です。短い時間にも関わらず、形態と奥行きのポイントをよく捉えています。描き込む際には、この距離感を保ちつつ細部に移ることが重要です。
 

11枚目は「八角柱と葉」の組モチーフです。石膏と葉の対比(コントラスト)が美しい仕上がりとなりました。八角柱のそれぞれの面の色彩の移り変わりがデリケートなグラデーションを成しています。形態がより正確に、さらに面の角(エッジ)への描画がシャープになるとより良いと思います。
 

12枚目は「赤い薔薇」です。赤い薔薇は白黒(モノクローム)での描画ではより黒く感じます。シルエットが背景とのコントラストをより強調しています。葉と赤い薔薇の描き分けは、モノクロームのデッサンでは非常に難しいですが、花びらの一枚一枚のグラデーションがそれを可能にします。モノクロームの階調(モノトーン)の幅が広がるとより良いと思います。
 

13枚目は「黄色い薔薇と陶器の花瓶、桃」の7組モチーフです。前作「赤い薔薇」での花びらの描画に比べて、一枚一枚がより豊かなトーンで描かれています。薔薇、陶器の花瓶、桃、それぞれの質感の描き分けも非常に美しく、それぞれの位置も明確です。背景色の中間階調(ハーフトーン)が非常に豊かなため、影のコントラストが活きています。
 

制作中の安井会員様です。豊かな観察眼を持って、これからも素晴らしい作品を生み出して下さい。今後さらなる上達、ご飛躍に期待致しております。
 
佐竹講師評