倉持会員様の油彩画ご紹介

皆様こんにちは。講師の杉本です。今回は倉持会員様の油絵をご紹介します。
 
 

 
 
モチーフの存在感が伝わってくる作品です。マスクの彫りの深い顔立ち、本の経年による風合い、ざらつきを感じさせる卵の表面、そして、編まれた鳥の巣とその影の克明さ。対象をしっかりと観察し、丁寧に筆を重ねた事により、重厚感のある作品に仕上がりました。
 
油絵具が得意とする、時間をかけた描き込みによる質感表現が成功しています。
また、それぞれのモチーフの陰影のつながりや、布の光の反射にも気を配る事で、画面全体のまとまりを高める事もできています。
 
制作の序盤では色彩を主にブラウン系に限定し、デッサンと同じく単色の明暗によって形態を探りました。モノクロームを用いた構図の検討・立体感の追求を粘り強く行った事が、色彩での描画を充実させる事につながったと考えております。
 
 

この作品は倉持会員様の二作目の油絵です。毎回の制作にじっくりと取り組まれており、ご自身の所属されているグループ展への出品に向けて制作を継続されています。
技法の基礎をより確かなものとして、自身の表現を更に深めてほしいと考えております。次回作も期待しております。