石膏像の話

銀座校で火曜日と木曜日を担当している佐々木です。
今回は銀座校にある石膏像についてご紹介したいと思います。
 
銀座校には人の形や人体の一部分の石膏像が大小合わせて11体あります。市販されている石膏像は元々大理石やブロンズなどで作られていたものをコピーしたものです。場合によっては部分だけをコピーしているので、オリジナルの細かいディテールや全体像が見えない状態になっています。全体像が分かると、その像の見え方も変わってくるのでデッサンする時の手がかりになると思います。
 
まずは銀座校のシンボル的な存在のこちらです。
 

サモトラケのニケです。
この石膏像は高さが38センチと小さいですが、オリジナルは大理石で台座も含めると3メートルを超える巨大な像です。
紀元前190年ころのヘレニズム期の彫刻と言われています。1863年にギリシャのサモトラケ島(現在はサモトラキ島)で発見された時は100を超える断片になっていたそうです。
 

オリジナルはこちら。
羽や服の表現が細かい事が分かりますね。
こちらのオリジナルはパリのルーブル美術館にあります。
 
次に紹介するのはこちら。

ボルゲーゼの闘士です。
紀元前100年頃のヘレニズム期の彫刻と言われています。17世紀初頭にイタリアのアンツィオという所で発掘されたそうです。ボルゲーゼとは発掘した人の名前です。
これもオリジナルは大理石でルーブル美術館にありますが、元々はブロンズ製だったそうです。
 

こちらがオリジナルです。
振り上げた左腕と下に引いている右腕の動きが良く分かりますね。やや前傾姿勢になっていて、今にも動き出しそうです。
 
次はこちら。

大顔面と呼ばれています。
これは一体誰の顔かというと、ローマ皇帝ルキウス・ウェルス帝の顔です。
 

これがルーブル美術館にあるルキウス・ウェルス帝の胸像です。
素材は大理石で180年頃に作られたそうです。髪の毛や髭が細かく表現されていますね。この像の高さは1メートルあるので、大顔面石膏像のサイズは実寸だと思われます。
 
最後はこちら。

ジュリアーノ・メジチ胸像です。
これはかの有名なミケランジェロの作品です。オリジナルはフィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂にあります。
 

こちらがそのオリジナルです。
1530年頃に作られた大理石の作品です。
この頃のミケランジェロの作品は少し間延びしているのが特徴です。なので首が長いですね。でも、今まさに何かをしようとしている一瞬を切り取ったような、動きのある作品ですね。
 
他にも石膏像はありますがオリジナルが不明なものもあるので、有名どころだけを紹介しました。
もし機会があればオリジナルの作品を目当てに旅行をされてみても面白いかもしれませんね。